日本人は、欧米と比較して
株式などへの投資をせず、銀行への預金、郵便局への貯金
さらには自宅でのタンス預金といった預貯金が好きだと言われています。

預金と貯金、あえて英語で使い分けるとすれば、預金は deposit、貯金は save です。

預貯金が豊富であると、大いなる安心感がありますよね。
その安心感はどこから来ているのでしょうか?

以下のとおり、歴史を考えると、日本人が貯金好きであるのは明らかであると考えます。




自然災害から食物を守り命を守るため

日本は、その地理的条件から、自然災害がきわめて多い国です。
地震、津波、火山の噴火、台風、雷は、いずれも典型的な日本の自然災害です。

これらは、人々の自由な生活を奪い、時として人々の命を奪います。

大規模な自然災害は、食べ物を奪うのです。

日本人は、「備蓄」が命を守ることを経験してきたのでしょう。
備蓄をすることによって、いざ大規模な自然災害があったとしても
食べ物を確保することができるのです。



備蓄が必然な農耕民族であったため

日本人は、2000年以上前、農耕民族でありました。
農耕は、常に良作であるとは限らず、凶作となることがあります。

それゆえ、農耕において余剰作物の備蓄は必然でありました。

備蓄の文化は、長年培われた農耕民族としての日本人の「血」なのです。



苦労して年貢を納めていたサムライ時代の記憶があるため

スウェーデンなどの北欧は、高負担高福祉で知られている。

福祉が充実していますが、税金も高いです。
消費税は25%にも及びます。

これに対し、日本は、低負担低福祉を嗜好します。
社会福祉制度は完璧ではなく、ある程度は安心を自分で蓄えなければなりません。

低負担低福祉を嗜好するのは、サムライ時代、農民が強制的に年貢を納めなければならず
しかもお上への不信感も高かったからではないでしょうか。

自分たちのことは自分たちでするから、年貢は少ない方がいいと。

そのときの農民の苦労が今の私たちにも影響を与えているのではないでしょうか。



戦後の混乱期に騙された経験を忘れないため

第二次大戦後の混乱期、一獲千金が得られると騙されて
なけなしのお金を預け、損をした方がたくさんいるようです。

現代の日本人が

「投資は怖い」
「利息は少なくても元本保証がなされている方がいい」

と思っている原因の一つは、戦後の混乱期に騙された経験を忘れないためであると考えます。


もちろん貯蓄には良い面と悪い面とあり
様々な意見や考え方があると思いますが
近年加速するグローバル社会において、このような考え方は果たして通用するのか?


色々と考えさせられますね。